広島で再婚した方のなかには、「前婚の子は相続するのか」「再婚相手の連れ子に財産は残せるのか」と悩んでいる方もいるでしょう。再婚家庭では、前婚の子や連れ子との法律上の関係によって、誰が相続人になるのかが変わります。
この記事では、再婚した方の相続の基本から、連れ子へ財産を残す方法、前婚の子がいる場合に遺言書を作成するときの注意点まで解説します。
再婚した方の相続の3つのポイント

まずは、再婚した方が悩みやすい3つのポイントについて解説します。
前妻や前夫は相続人ではない
現在の配偶者は、常に相続人になります(民法第890条)。しかし、前妻や前夫は現在の配偶者ではないため、相続人になりません。
前婚の子どもは相続人になる
前妻や前夫と異なり、前婚の子どもとは離婚しても法律上の親子関係があるため、相続人になります。
再婚しても相手の連れ子は相続人にならない
連れ子は、養子になって初めて法律上の親子関係が生じて、実子と同じように相続人になります。
次の表は、ここまでの内容を整理した表になりますので、参考にしてください。
| 人物 | 相続の有無 |
|---|---|
| 再婚した相手の方 | あり |
| 前妻・前夫 | なし |
| 前婚の子 | あり |
| 再婚した相手の方との子 | あり |
| 再婚した相手の方の連れ子 | 原則なし |
また、相続人ごとに遺産を受け取れる割合が法律で決まっており、割合のことを相続分といいます(民法第900条)。よくあるケースでは、次のようになります。
| 相続人 | 相続分 |
|---|---|
| 再婚した相手の方+子ども | それぞれ2分の1ずつ |
| 再婚した相手の方+義理の両親 | 再婚した相手の方が3分の2、義理の両親が3分の1 |
| 再婚した相手の方+義理の兄弟姉妹 | 再婚した相手の方が4分の3、義理の兄弟姉妹が4分の1 |
| 再婚した相手の方のみ(ほかに相続人がいない) | 再婚した相手の方がすべて取得 |
とくに、配偶者が遺産をすべて相続できるのは、基本的にはほかに相続人がいない場合のみですので、覚えておいた方がいいでしょう。詳しくは「広島で子どもがいない夫婦の相続のリスクと遺言書が必要な理由を解説!」の記事をぜひ参考にしてください。
再婚した相手の方の連れ子に財産を残す2つの方法

再婚した相手の方の連れ子は、再婚しただけでは自分の相続人にはなりません。連れ子に財産を残したい場合は、一般的に以下の2つの方法を検討する必要があるでしょう。
- 連れ子と養子縁組をする
- 遺言書で連れ子に財産を遺贈する
ここからは、2つの方法について詳しく見ていきましょう。
連れ子と養子縁組をする
ひとつめは、再婚した相手の方の連れ子と養子縁組をする方法です。
養子縁組が成立すると、連れ子との間に法律上の親子関係が生じるため、養子は実子と同じように自分の相続人になります。したがって、遺言書がなくても、養子となった連れ子には子として相続する権利があります。
ただし、養子縁組は単に財産を残すための手続きではなく、法律上の親子関係を生じさせるものです。相続以外にも影響するため、慎重に検討する必要があるでしょう。
遺言書で連れ子に財産を遺贈する
もうひとつは、連れ子に財産を残す内容の遺言書を作成する方法です。
養子縁組をしていない連れ子は相続人ではありませんが、遺言書によって財産を残せます。たとえば、自宅や預貯金などについて、連れ子にどの財産を残すのかを遺言書で定められます。
ただし、配偶者や前婚の子などに認められる遺留分に配慮して、最適な内容を検討することが大切です。
前婚の子がいる方は遺言書の作成が重要
前婚の子がいる方は、再婚した相手の方や現在の家族にどのように財産を残したいのかを考え、遺言書を作成しておくことが重要です。前婚の子は、離婚後も法律上の子であることに変わりがなく、相続人になるからです。
遺言書がなければ、基本的には再婚した相手の方と前婚の子などの相続人全員で、遺産の分け方について話し合う必要があります。再婚した相手の方と前婚の子にほとんど面識がない場合や、前婚の子と長期間連絡を取っていない場合には、相続が始まってから連絡を取り合わなければならないこともあります。
一方、遺言書で誰にどの財産を残すのかを定めておけば、遺言書の内容に従って財産を承継できるため、対象となる財産について相続人全員で分け方を決める必要は基本的になくなります。前婚の子がいる場合に遺言書を作成することは、残された家族が遺産分割について話し合う負担を減らすための方法のひとつといえるでしょう。
ただし、遺言書を作れば前婚の子との相続トラブルをすべて防げるわけではありません。前婚の子には遺留分が認められているため、遺言書を作成するときは、財産の分け方だけでなく遺留分にも配慮することが大切です。
遺留分への配慮が遺言書作成のポイント

再婚した方が遺言書を作成するとき、とくに注意すべきポイントが前婚の子の遺留分です。遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に法律で最低限認められている相続の割合のことです(民法第1042条)。
これまで見てきたとおり、前婚の子は相続人であるため、遺留分が認められます。そして、遺留分を侵害するような遺言書を作成すると、前婚の子から侵害された遺留分に相当する金銭を請求される可能性があるため、注意が必要といえるでしょう。
なお、遺留分の基本的な考え方や対策については、「遺留分を知らずに遺言書を作ると危険?遺留分の基本と対策を広島の行政書士が解説!」の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
付言事項を残しておく
前婚の子を無視した内容ではなく、たとえば、相続分にしたがった財産を残す内容にすれば、遺留分によるトラブルは避けられるでしょう。
また、前婚の子の遺留分を侵害する内容の遺言書を作る場合、付言事項を残しておくことが大切です。付言事項とは、遺言書に自分の想いを自由に残せるメッセージのようなものです。
付言事項には法的な効力がありませんが、遺言書の内容を決めた理由や自分の想いを残しておくことで、前婚の子が遺留分侵害に理解を示して、請求を留まってくれる可能性があるでしょう。
なお、付言事項については「遺言書は付言事項が大切。書くべき理由や広島の具体例を分かりやすく解説!」の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらを選ぶべきか

遺言書を作る方法には、大きくわけて自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがあります。
自筆証書遺言とは、手書きで作成する遺言書のことです。手書きで作成するため費用を抑えられる、いつでも書けるというメリットがありますが、法律で決められた形式を守っていないと無効になるリスクがあります。詳しくは「広島で遺言書を手書きで作るポイントとは?自筆証書遺言の書き方や注意点を解説」の記事をぜひ参考にしてください。の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
公正証書遺言とは、公証役場という場所で、法律の専門家である公証人が作成する遺言書のことです。専門家が作成するため、形式不備による無効のリスクを抑えられる、社会的な信用があり相続手続きがスムーズに進むなどのメリットがありますが、作成に費用や手間がかかるというデメリットがあります。
公正証書遺言をおすすめする理由
ここまで見てきたとおり、再婚した方の相続では、相続手続きがスムーズに進められない能性があるため、遺言書を作るのがよいといえます。しかし、せっかく作っても形式不備で無効になったり、内容に誤りがあったりすると、遺言書を作った意味がなくなるだけでなく、遺言書が原因で揉めてしまう可能性もあります。
したがって、形式不備で無効になる、内容に誤りがあるといったリスクが自筆証書遺言に比べて低く抑えられるため、公正証書遺言を作るのがおすすめといえるでしょう。
なお、公正証書遺言については「広島で遺言書を公正証書で作成するメリット・デメリットを解説」の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
遺言書について専門家へ相談するべきケース

これまで見てきたとおり、再婚した方の相続は複雑になりやすいです。また、前婚の子との関係はデリケートなケースが多く、再婚相手とその子どもとの間でトラブルにならないようにするためには、遺言書を作るのがおすすめといえます。
しかし、単に作ればよいというものではなく、前婚の子への遺留分に配慮した内容にするなど、専門的な知識や経験が必要な場合が多いでしょう。ここまでの記事を読んだ方のなかには、遺言書を作りたいと考えているものの、自分で作ることに不安を感じている方もいるでしょう。
少しでも不安がある方は、まずは専門家に相談するのがおすすめといえます。ここからは、専門家ごとに相談すべきケースについて詳しく見ていきましょう。
前妻の子との対立が予想される場合は弁護士に相談すべき
弁護士は法律の専門家であり、代理人となって相続トラブルを解決できるのは弁護士だけです。
前婚の子との関係が悪く、相続人同士の対立が予想される場合は、弁護士へ相談するのがよいでしょう。
不動産が多い場合は司法書士に相談すべき
司法書士は登記の専門家です。相続手続きでは、不動産がある場合は相続登記をする必要があります。
自宅だけでなく、賃貸物件や事業用不動産など所有している財産に不動産が多い場合は、将来の相続登記を見据えて司法書士に相談するのがよいでしょう。
紛争性が高くない場合は行政書士に相談すべき
行政書士は書類作成の専門家です。遺言書の作成にも対応でき、相続人の確認も含めて一括でサポートできます。
紛争性が高くない場合は、行政書士に相談するのがおすすめです。なかでも、遺言書や相続を専門としている行政書士に相談すれば、内容についての最適なアドバイスを受けながら、スムーズに作成できるでしょう。
広島で再婚した方の遺言書や相続でよくある質問

最後に、広島で再婚した方の遺言書や相続についてよくある質問を見ていきましょう。
再婚相手と前婚の子にほとんど面識がなくても、前婚の子は相続人になりますか?
はい。再婚相手と前婚の子の関係性にかかわらず、前婚の子は相続人になります。
遺言書がない場合は、基本的に再婚相手と前婚の子を含む相続人同士で、遺産の分け方を話し合う必要があります。
前婚の子と疎遠になっている場合や、再婚相手との交流がない場合は、相続が始まってから初めて連絡を取り合うことになるケースも考えられます。
前婚の子に財産を残さない内容の遺言書を作ることはできますか?
はい。前婚の子に財産を残さず、再婚相手などに財産を残す内容の遺言書を作成すること自体は可能です。
ただし、前婚の子には遺留分があるため、遺留分を侵害すると、遺言書によって財産を受け取った方が金銭を請求される可能性があります。
前婚の子に財産を残さない場合は、遺言書を作れるかどうかだけでなく、遺留分まで考えて内容を決めるべきだといえるでしょう。
再婚相手にできるだけ多くの財産を残したい場合、遺言書を作れば十分ですか?
遺言書を作ることは重要ですが、作成するだけで十分とは限りません。
遺言書によって再婚相手へ財産を残す内容を定めることはできますが、前婚の子がいる場合は遺留分にも配慮する必要があります。
どの財産を誰に残すのかだけではなく、遺留分を侵害する可能性がないかまで確認することが重要です。
再婚相手の連れ子に財産を残すには、養子にしなければなりませんか?
いいえ。連れ子を養子にしなくても、遺言書によって財産を残せます。
養子縁組をしなければ、連れ子は法律上の子として相続人にはなりません。一方、遺言書で連れ子に財産を残すことは可能です。
どちらの方法を選ぶべきか、慎重に検討するようにしましょう。
遺言書を作れば、再婚相手と前婚の子が話し合わずに相続手続きを進められますか?
遺言書の内容によっては、遺産の分け方について相続人全員で話し合う必要をなくすことができます。
ただし、遺言書を作れば前婚の子との関わりや相続トラブルがすべてなくなるわけではありません。たとえば、前婚の子の遺留分を侵害していれば、遺留分侵害額を請求される可能性があります。
再婚家庭では、遺言書を残すことに加えて、その内容まで慎重に考えることが大切です。
まとめ
再婚家庭では、前婚の子や再婚した相手の方に連れ子がいるかどうかで、相続の内容が変わります。離婚しても前婚の子は相続人になること、再婚した相手の方の連れ子は養子になって初めて相続人となることは、覚えておいた方がよいでしょう。
また、前婚の子がいる場合や、養子にせずに連れ子へ財産を残したい場合は、遺言書を作成するのがおすすめです。とくに、前婚の子がいる場合、遺言書がないと相続人同士の感情的な対立などにより相続トラブルが生じるケースもあるため、注意すべきでしょう。
再婚家庭の相続は複雑になりやすく、法的に有効で適切な内容の遺言書を作るためには、専門家に相談するのがよいといえます。とくに、遺言書や相続を専門とする専門家であれば、具体的なアドバイスを受けられるでしょう。
行政書士広島もみじ法務事務所は、遺言書に特化した遺言書専門の法務事務所です。
単に「遺言書を作る」のではなく、ご家族の関係・財産の状況・ご本人の想いを丁寧に整理して、相続トラブルのリスクに備えながら、希望を実現するための内容を設計・提案します。
初回相談は2時間無料です。
まずは専門家と一緒に、現状を整理するところから始めてみませんか。