【相談】子どものうち1人に多く財産を残したい
- 相談の内容
- 希望する財産の残し方と、将来必要になる相続手続きの両方を踏まえて、今のうちにどのような準備をしておけばよいか整理したいというご相談です。
ご相談者は、普段から身の回りのことを支えてくれているお子さまに、感謝の気持ちを込めて、ほかのお子さまより多く財産を残したいと考えていました。
しかし、何も準備をしないまま相続が始まった場合に、ご自身の希望どおりに財産を分けられるのかがわからず、不安を感じていたとのことです。
そこで、ご相談では、特定のお子さまに多く財産を残すためにはどのような方法が考えられるのか、また、その方法を選ぶ際にどのような点を確認しておく必要があるのかを中心に整理しました。
あわせて、ご自身が亡くなった後には、財産の名義変更や預貯金の手続きなど、さまざまな相続手続きが必要になります。
そのため、財産の残し方だけではなく、相続が始まった後にどのような手続きが必要になるのかについても、基本から知っておきたいというご希望がありました。
- 当事務所の対応
- まず、相続の基本として、誰が相続人になるのか、法律で定められた相続割合である「法定相続分」がどのように決まるのかをご説明しました。
あわせて、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」や、預貯金の解約など、相続が始まった後に必要となる手続きの基本についてもお伝えしました。
そのうえで、普段から支えてくれているお子さまに、ほかのお子さまより多く財産を残したいというご希望について整理しました。
その希望を形にする方法としてご案内したのが、遺言書の作成です。
遺言書にはいくつかの作成方法があるため、自分で作成する自筆証書遺言と、公証人が作成に関与する公正証書遺言について、それぞれの特徴や違いもご説明しました。
ただし、遺言書で財産の分け方を決める場合でも、ほかのお子さまの「遺留分」には注意が必要です。
遺留分とは、子どもなど一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分をいいます。
遺言書の内容によって遺留分が侵害された場合、その相続人は、財産を多く受け取った人などに対して、侵害された額に相当する金銭の支払いを求めることができます。
これが「遺留分侵害額請求」です。
今回希望されていた財産の分け方では、ほかのお子さまの遺留分を侵害する可能性がありました。
そのため、遺言書を作成するだけではなく、将来、遺留分侵害額請求を受けた場合の支払いまで考えておく必要があります。
そこで、請求があった場合にも対応できるよう、現預金などの資金を確保しておくことをご案内しました。
さらに、財産の内容を確認するなかで、相続税への備えも検討する必要がありました。
伺った財産の状況からは、相続税が発生する可能性が高いと考えられたためです。相続税は、原則として金銭で一度に納付する仕組みとなっています。
そのため、財産の残し方だけを考えるのではなく、相続後に必要となる支払いまで見据えて準備することが重要です。
今回は、保有する財産を整理したうえで、遺留分侵害額請求への対応と相続税の納付の両方に備え、必要な現預金を確保しておくことをご案内しました。
- 相談の結果
- 今回のご相談では、相続人や法定相続分、遺産分割協議といった相続手続きの基本を確認しました。
そのうえで、普段から支えてくれているお子さまに多く財産を残すための方法と、その際に注意すべき点を整理しました。
検討を進めるなかで、遺言書を作成するだけではなく、ご自身の財産をあらためて整理し、相続後に必要となる支払いへの備えも考えておく必要があることが明確になりました。
特に、遺留分侵害額請求への対応や相続税の納付を見据え、一定の現預金を確保しておくことも、今後の準備の一つとして確認しています。
ご相談者には、当初考えていた財産の残し方だけでなく、ご自身では気づいていなかった財産面の課題についても知ることができ、これから何を準備すればよいのか整理できたことを喜んでいただけました。