遺言書に付言事項は必要?書くべき理由や広島の具体例を分かりやすく解説!

2026.04.29

「遺言書が原因で相続で揉めないだろうか」と不安に思っている方も多いでしょう。相続トラブルを防ぐためには、遺言事項だけでなく、付言事項が重要なポイントになります。

今回は、付言事項の基本だけでなく、書き方の具体例や書くべき理由などを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

遺言書の付言事項とは?

付言事項とは、遺言者が自由に書けるメッセージのことです。一般的には「家族への想い」「財産の分け方を決めた理由」「葬儀やお墓への希望」などが書かれる場合が多いでしょう。

書き方の形式や内容に厳密なルールはないため、遺言者が内容を自由に考えて書ける点が特徴といえるでしょう。

遺言事項と付言事項の違い

遺言書に書けるのは、大きく分けると「遺言事項」と「付言事項」の2つです。遺言事項とは、法的な効力を生じさせる内容であり、遺産の分け方や子どもの認知など、法律で決められたことしか書けません。

一方、付言事項は法的な効力を生じさせません。そして、形式や内容の自由度が高いため、遺言者のメッセージを残すための手段として活用される場合が多いでしょう。両者の違いを表で整理すると、以下のとおりです。

項目 法定遺言事項 付言事項
定義 法的効力を生じさせる一定の記載 法的効力を生じさせない自由な記載
法的な効力 あり なし
記載例 相続分の指定、遺贈、認知 など 感謝のメッセージ、分配理由、葬儀の希望
民法の根拠 民法第902条、第964条 ほか 直接の規定はなし
自由度 法律で定められた範囲に限定 形式・内容ともに自由

広島で付言事項を記載するべき理由

「法的な効力を生じさせないなら、付言事項を書く意味はないのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、相続においては、付言事項の有無が影響を与えるケースも少なくありません。

ここでは、付言事項を書くべきとされる3つの理由を見ていきましょう。

感情的な相続トラブルを防げる可能性がある

法的に有効な遺言書であっても、遺言者の真意がわからなければ、相続人が「なぜ自分だけ少ないのか」「誰かが遺言者に圧力をかけたのではないか」といった疑念を抱く可能性があります。

そして、相続人が抱いた疑念が負の感情の発端となり、相続人同士の感情的なわだかまりが原因で相続トラブルが生じるケースも少なくありません。つまり、相続トラブルは、相続人同士の遺産の分け方だけが原因ではないということです。

付言事項には、相続人が不要な疑念を抱くことを防ぐ効果が期待できます。遺言者が、自身が決めた遺産の分け方の理由や相続人への想いなどを書いておくことで、相続人の理解が得られ、相続人同士の感情のこじれを未然に防ぐ効果が期待できるといえるでしょう。

遺留分侵害額請求を思いとどまってもらえる可能性がある

遺留分とは、法律で相続人に保証された最低限の相続の割合(民法第1042条)のことであり、兄弟姉妹以外の相続人に認められています。相続人に認められている遺留分は以下のとおりです。

相続人の構成 遺留分の割合
配偶者のみ 1/2
配偶者と子 1/2
配偶者と直系尊属 1/2
子のみ 1/2
直系尊属のみ 1/3
兄弟姉妹のみ なし

遺言書で特定の相続人に多くの遺産を残しても、ほかの相続人の遺留分を侵害している場合は、侵害された相続人は遺留分侵害額請求ができます(民法第1046条)。遺留分侵害額請求があると、基本的に金銭の支払いによって解決することになるため、結果として遺言者が希望したとおりの遺産の分け方が実現できなくなる場合もあるでしょう。

しかし、付言事項があれば、遺留分を侵害された相続人からの請求を予防できる可能性があります。遺産の分け方を決めた理由などを丁寧に書いておくことで、遺留分を侵害された相続人が理由に納得して、遺言者の意思を尊重して請求を控える場合もあるでしょう。

付言事項は「家族の心理的な遺産」になる

付言事項は、金銭的な価値を持たない一方で、家族にとって精神的な支えになる側面があります。「母さんはこう思っていたんだね」「父さんから最後にこう伝えてもらえてよかった」といった想いの共有は、家族の絆を再確認する機会になり、家族の幸せな生活に繋がるでしょう。

付言事項に書ける内容と具体的な書き方

付言事項は自由に書けるため、何をどう書けばよいのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。ここでは、書ける内容の典型例、書かない方がよい内容、そして、書く場合の形式について順を追って紹介します。

付言事項に書ける主な5つの内容

付言事項に決まったテンプレートはありませんが、以下のようなパターンが一般的といえるでしょう。

  • 家族への感謝のメッセージ
    例:「これまで支えてくれた妻に、心から感謝しています」
  • 財産の分け方を決めた理由
    例:「自宅と預貯金を長女に多く残すのは、長年介護をしてくれたお礼の気持ちからです」
  • 葬儀・お墓・供養の希望
    例:「葬儀は家族のみで、簡素に執り行ってほしい」
  • 遺された家族への願い
    例:「兄弟仲良く、互いに助け合って生きていってほしい」
  • 遺留分への配慮(請求しないでほしい旨など)
    例:「ほかの相続人には、遺産の分け方の理由を理解し、遺留分の請求は控えてほしい」

なお、繰り返しになりますが、遺留分への配慮について記載しても、遺留分を侵害された相続人が請求できなくなるわけではないことは、覚えておいた方がよいでしょう。

書かない方がよい内容

自由に書けるからこそ、書き方を誤ると逆効果になることがあります。とくに、以下のような内容は、相続人同士が揉める原因になる可能性があるため、書かない方がよいでしょう。

  • 特定の相続人を強く非難する内容
  • 思い違いや一方的な解釈による記載
  • 他の相続人を侮辱するような表現

書き方に迷う場合は、専門家に文言を相談するのがよいでしょう。

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付言事項を書く位置や書く方法

一般的には、遺言書の最後に書くことが多いでしょう。また、書く方法は遺言書の種類によって変わります。

たとえば、自筆証書遺言の場合は、遺言者が手書きで書く必要があります。一方で、公正証書遺言の場合は、公証人が遺言者に代わって書くことになります。

なお、自筆証書遺言の場合は、原則として付言事項も含めて全文を自筆で記す必要があり、法律で決められた様式を守らないと無効になる可能性があります。無効になるリスクを抑えて安全に遺言書を作成したい場合は、公正証書遺言を選ぶのがよいでしょう。詳しくは「自筆証書遺言の書き方について、作成ルールや注意点をわかりやすく解説」「広島で公正証書遺言をおすすめする理由やメリット・デメリットをわかりやすく解説!」の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

付言事項の有無が相続に与える影響を想定事例で紹介

ここからは、付言事項の有無が相続に与える影響を具体的にイメージしてもらえるように、実際の事例をもとにした想定事例を2つ紹介します。

付言事項によって遺留分トラブルを予防できたケース

広島市内に住む80代の父親が、自宅と預貯金について公正証書遺言を作成したケースです。相続人は長男と長女で、父親は長年同居して介護をしてくれた長女に多めに、東京で独立して暮らす長男には控えめに遺産を残す内容としました。

そして、付言事項に「長女には介護で多大な苦労をかけた。長男には、若いころに大学進学費用を負担してきたことへの感謝も込めて、この分け方とした。兄弟仲良く、これからも助け合っていってほしい。」と書きました。

父親の死去後、長男は当初「不公平ではないか」と感じたものの、付言事項を読んで自身の進学費用の経緯を思い出して、姉への遺留分侵害額請求を見送る選択をしました。

付言事項がないことで相続トラブルが生じたケース

広島市内の70代の母親が、自筆証書遺言を作成したケースです。相続人は長女、次女、三女で、長女にすべての財産を残す内容でしたが、遺言書には経緯や理由が何も記されていませんでした。

母親の死去後、次女と三女は「長女が母を言いくるめたのではないか」「私たちには何も伝えられていない」と疑念を強め、最終的には遺言書の有効性を争う訴訟に発展しました。

付言事項の注意点

付言事項は誰でも自由に書けるからこそ、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。

たとえば、本来、遺言事項として書くべき内容を書いてしまうと、遺言者が期待した法的な効果が生じない可能性があります。また、遺言者は問題がないと判断した内容であっても、読み手である相続人にマイナスに捉えられてしまう可能性もあるでしょう。

付言事項を書く場合は、内容について慎重に検討することも大切なポイントです。

広島で付言事項も含めて遺言書の相談ができる専門家

ここまでは、付言事項について基本から解説してきました。付言事項には法的な効力はありませんが、遺言者の想いを伝えられるだけでなく、相続トラブルを防止する効果も期待できます。

しかし、どのような内容でも書いておけばよいというわけではありません。内容をしっかりと検討しなければ、付言事項が原因で相続トラブルが生じる可能性もあるでしょう。

ここまでの記事を読んだ方のなかには、付言事項も含めて遺言書について専門家に相談したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

ここからは、広島で付言事項も含めて遺言書について相談できる専門家について紹介します。

専門家の種類

広島で遺言書について相談できる専門家には、大きく分けて行政書士、司法書士、弁護士がいます。それぞれの役割を整理すると、以下のとおりです。

専門家 主な役割
行政書士 書類作成、官公署への手続き
司法書士 不動産登記、簡易裁判所代理
弁護士 法律事務全般、紛争解決

一般的には、行政書士、司法書士、弁護士のいずれであっても遺言書について相談が可能ですが、遺言書や相続を専門としてる専門家を選ぶのがおすすめといえるでしょう。

遺言書や相続を専門としている専門家であれば、付言事項も含めて遺言書全般について豊富な知識や経験を有しており、ご自身の希望を実現するための最適な提案やアドバイスが受けられる可能性が高いといえます。

まとめ

付言事項は、法律で決められている遺言事項に該当しないため法的な効力はありません。しかし、法的な効力がないからこそ、遺言者の想いを家族に伝えるメッセージなど、自由に記載できるのが特徴です。

また、相続トラブルは相続人同士の感情的なわだかまりが原因になる場合もありますが、付言事項として遺言者の想いを記載しておくことで、トラブルを防ぐ効果が期待できるでしょう。しかし、書き方を誤ると逆効果になり、相続トラブルの原因になる場合もあるため、どのような内容にするかを慎重に検討するのが重要です。

広島で相続トラブルを防ぎ、円満な相続を実現するために付言事項も含めて遺言書について相談したい場合は、遺言書や相続を専門としている専門家に相談するのがおすすめといえるでしょう。

広島もみじ法務事務所は、遺言書の作成に特化した、終活・生前対策を専門とする行政書士事務所です。代表行政書士は、裁判所で遺言書や相続のトラブルに直接対応した経験があり、経験を踏まえた適切な付言事項や遺言事項の内容を提案してもらえるでしょう。

また、広島もみじ法務事務所では、遺言書の作成について3つのプラン(詳細はこちら)を用意しているだけでなく、遺言書の修正相談が無料で受けられるなど、アフターサービスも充実しています。

初回相談は無料となっていますので、まずはお問い合わせから始めてみてはいかがでしょうか。

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