広島で内縁のパートナーと長年生活している方のなかには、「自分が亡くなったあと、パートナーは自宅に住み続けられるのだろうか」「パートナーに預貯金をきちんと残せるのだろうか」と不安を感じている人もいるでしょう。
今回は、内縁のパートナーに財産を残すための4つの方法と、遺言書を活用したおすすめの方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
内縁のパートナーには相続する権利がない

まず押さえておきたいのは、内縁のパートナーには、原則として相続する権利が法律で認められていないことです。基本的に、亡くなった方の配偶者は財産を相続する権利がありますが、婚姻届を提出しなければ配偶者として認められません。
つまり、長年一緒に暮らしているパートナーであっても、婚姻届を提出しなければ法律上は配偶者にならないため、原則として財産を相続する権利はありません。
必ず特別縁故者になれるわけではない
特別縁故者とは、亡くなった方が生前に特に親しくしていた方であり、相続人と同じように財産を相続する権利が認められています。そこで、「内縁のパートナーであれば、特別縁故者として財産を受け取れるのでは」と考える方もいるでしょう。
しかし、特別縁故者が財産を相続できるのは、亡くなった方に誰も相続人がいない場合に限られます。また、特別縁故者は生前に親しければ当然に認められるものではなく、家庭裁判所で手続きをして、最終的には家庭裁判所が認めるかどうかを判断するため、必ず認められるわけではありません。
内縁のパートナーであっても、必ず特別縁故者になれるわけではないことは、覚えておいた方がいいでしょう。
内縁のパートナーに財産を残す方法

ここまで見てきたとおり、基本的に内縁のパートナーは相続する権利が認められていません。たとえば、内縁のパートナーと自分が所有している自宅に住んでいた場合、相続によって自宅は相続人が所有することになります。そのため、パートナーと相続人との関係によっては、自宅からの退去を求められたり、今後の居住条件について交渉が必要になったりする可能性があります。
万が一のことがあった場合、相続する権利がないパートナーは基本的に財産を受け取れません。パートナーの生活を守るためには、事前に対策をして財産を残せるようにすることが大切です。
内縁のパートナーに財産を残す方法には、大きく分けて次の4つの方法があります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 遺贈 | 遺言書を作って財産を受け取ってもらう |
| 生前贈与 | 生きているうちに財産を渡す |
| 死因贈与 | 死亡時に財産を渡す契約を締結 |
| 生命保険 | 死亡保険金の受取人に指定する方法 |
ここからは、内縁のパートナーに財産を残す4つの方法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
遺贈
遺贈とは、遺言書を作ることで、財産を受け取れるようにする方法です。「自宅を内縁の妻に遺贈する」「預貯金のうち2分の1を内縁の夫に遺贈する」など、内縁のパートナーに自宅や預貯金などの財産を残す内容の遺言書を作っておくことで、万が一のときにパートナーが財産を受け取れるようになります。
遺贈には、大きく分けて包括遺贈と特定遺贈の2つの方法があります。それぞれの具体的な内容や注意点などは以下のとおりです。
| 方法 | 内容 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 包括遺贈 | 残す財産を割合で指定 | 財産の全部や一定割合を残したい場合 |
・債務も引き継ぐ可能性がある ・他の相続人と話し合いになる可能性がある |
| 特定遺贈 | 残す財産を具体的に指定 | 特定の財産のみ残したい場合 | 財産を正確に記載しないと、無効になる可能性がある |
とくに、包括遺贈の場合、他の相続人と財産の分け方について話し合いが必要になるケースがあるため、注意が必要です。
生前贈与
生前贈与とは、生前に自分の財産を相手に渡す契約のことです(民法第549条)。たとえば、生前に預貯金の一部を内縁のパートナーに贈与しておけば、贈与した預貯金はパートナーの財産になります。
ただし、贈与する金額が大きくなると、贈与税が問題になる可能性があります。また、不動産を贈与することもできますが、登記費用だけでなく不動産取得税などがかかるケースもあるため、注意が必要です。
死因贈与
死因贈与とは、本人の死亡によって効力が生じる贈与契約のことです。死亡によって贈与の効力が生じること以外は、基本的に生前贈与と変わりません。
また、本人の死亡時に効力が生じるという点では、贈と似ていますが、内縁のパートナーと生前に契約する必要がある点が異なります。つまり、遺贈の場合は自分だけで遺言書を書けば問題ありませんが、死因贈与の場合はパートナーと契約する必要があるため、自分ひとりの意思では自由に決められないのが原則です。
生命保険
生命保険の受取人を、内縁パートナーに指定する方法もあります。死亡保険金は、原則として亡くなった方の財産の一部ではなく、保険金を受け取る人自身の財産になるため、相続する権利がない内縁のパートナーであっても受け取れます。
ただし、保険会社によっては、内縁のパートナーを受取人に指定するための条件や確認書類が定められている場合があるため、事前に確認するようにしましょう。また、保険金額が極端に大きい場合などは、例外的に亡くなった方の財産の一部とみなされて、相続人とトラブルになるケースもあるため、注意が必要です。
遺言書を作って遺贈を中心に対策するのがおすすめ

内縁のパートナーに財産を残す方法については、これまで見てきたとおりです。4つの方法はそれぞれ特徴が異なるため、どの方法を選べばよいのかと悩んでいる方もいるでしょう。
パートナーの生活を守るためには、自分に万が一のことがあった場合に、自宅や預貯金などのまとまった財産を残せるようにしておくことが大切です。したがって、万が一のときに相続人と同じようにパートナーが財産を受け取れるよう、遺言書を作って遺贈を中心に複数の方法を組み合わせるのがおすすめです。
たとえば、生前贈与を利用して預貯金を少しずつ財産をパートナーに渡しておき、遺言書で自宅などの不動産を遺贈する方法があるでしょう。とくに、不動産は生前に贈与すると手続きが複雑になったり、さまざまな税金がかかったりするので、遺贈するのがよいといえます。
遺言書を作り、遺贈を中心にして複数の方法を組み合わせることで、万が一のことがあっても内縁のパートナーが安心して生活できるように準備できるでしょう。
遺言書は公正証書遺言を選択すべき
遺言書には、大きく分けて自筆証書遺言という手書きで作成する遺言書と、公正証書遺言という公証役場で作成する遺言書の2種類があります。
手書きで作成する遺言書は、費用が抑えられ、いつでも作成できるというメリットがあります。一方で、法律で決められた形式を満たさないと無効になるリスクがあるため、注意が必要です。詳しくは「「広島で遺言書を手書きで作るポイントとは?自筆証書遺言の書き方や注意点をわかりやすく解説!」」の記事で解説しています。
公証役場で作成する遺言書は、法律の専門家である公証人が本人の代わりに作成してくれるため、形式不備による無効のリスクが抑えられるのがメリットです。一方で、作成には時間や手数料がかかるのがデメリットです。詳しくは~
それぞれの遺言書にメリットとデメリットがありますが、せっかく遺言書を作成しても、形式不備によって無効になってしまっては意味がありません。したがって、手書きの場合と比べて形式不備による無効のリスクを抑えられる、公正証書遺言を選ぶべきでしょう。
なお、公正証書遺言については「「広島で公正証書遺言をおすすめする理由やメリット・デメリットをわかりやすく解説!」」の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
内縁のパートナーへ財産を残す場合の注意点

遺言書の作成や生前贈与など、複数の方法を組み合わせること以外にも、内縁のパートナーに財産を残すうえで注意するべきポイントがあります。
ここからは、注意するべき2つのポイントについて解説します。
法定相続人の遺留分への配慮
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に法律で保障されている、最低限の相続の割合のことです。生前贈与や遺贈によって相続人の遺留分を侵害すると、侵害された相続人から内縁のパートナーに対して、金銭の支払いを請求される可能性があります。
たとえば、実子がいる場合、実子は相続人となり、遺留分が認められています。仮に、全財産を内縁のパートナーに遺贈する遺言書を作成すると、遺留分を侵害された実子から、パートナーが金銭の支払いを請求されるケースがあります。また、内縁のパートナーに生前贈与をした場合でも、相続人の遺留分を侵害する可能性があるため、注意が必要です。
遺留分を侵害する可能性がある場合は、相続人にも一定の財産を残す、侵害した遺留分の金額以上の死亡保険金が支払われるように生命保険に加入しておくなど、事前の対策が重要になります。なお、遺留分については「「遺留分を知らずに遺言書を作ると危険?遺留分の基本と対策を広島の行政書士が解説!」」の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
遺言執行者を指定しておく
遺言書では、遺言執行者を指定しておくことも重要です(民法第1006条)。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために、預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きができる人のことです。
遺言執行者を指定しておかないと、内縁のパートナーがほかの相続人と一緒に手続きをしなければならないケースがあります。パートナーにとって、ほかの相続人と連絡を取って一緒に手続きを進めることは、難しい場合もあるでしょう。
遺言執行者を指定しておけば、指定された人が単独で必要な手続きを進められます。したがって、遺言書を作成する際は、内縁のパートナーが後の手続きで困らないよう、遺言執行者を指定しておくのがよいでしょう。
詳しくは、関連記事「遺言執行とは?遺言書の内容を実現する手続きと注意点をわかりやすく解説」で解説しています。
リスクを抑えて内縁のパートナーに財産を残すためには専門家へ相談

内縁のパートナーに財産を残す方法については、これまで見てきたとおりです。自分に万が一のことがあった場合に備えて、パートナーの生活を守るためには、遺言書を作って遺贈を中心に複数の方法を組み合わせるのがよいでしょう。
しかし、単に遺言書を作る、生前贈与をするというだけでは、リスクに対する備えが不十分な場合が多いです。とくに、遺留分がある相続人がいる場合、生前贈与や遺贈によって遺留分を侵害してしまうと、パートナーが相続人から金銭の支払いを請求される可能性があります。
遺留分の侵害による金銭の支払いなど、トラブルになるリスクを抑えてパートナーに財産を残すためには、専門家に相談するのがおすすめです。専門家は、大きく分けて弁護士、司法書士、行政書士であり、それぞれ特徴が異なります。
ここからは、専門家ごとの特徴について見ていきましょう。
弁護士
弁護士は、相続人とのトラブルが予想される場合や、すでに対立がある場合に適しています。遺留分侵害額請求への対応や、相続人との交渉が必要になる可能性が高い場合は、弁護士へ相談するのがよいでしょう。
司法書士
司法書士は登記の専門家です。自宅以外にも投資用マンションなど複数の不動産を所有している場合は、相続による不動産の名義変更手続きが複雑になる可能性があるため、司法書士に相談するのがよいでしょう。
行政書士
行政書士は、遺言書を含む法的な書類作成の専門家です。遺言書の原案作成、相続人や財産の調査、公正証書遺言の作成に必要な公証役場との調整など、幅広くサポートできます。相続人とのトラブルが生じる可能性が低い場合は、行政書士に相談するのがよいでしょう。
遺言書・相続を専門にしている専門家を選ぶのがおすすめ
専門家ごとにさまざまな特徴がありますが、もっとも大切なことは遺言相続を専門にしている専門家を選ぶことです。遺言相続を専門にしていない専門家と比べて、豊富な知識と経験を有しており、内縁のパートナーに財産を残すための最適な方法を提案してくれるでしょう。
たとえば、行政書士広島もみじ法務事務所は、遺言相続を専門にしている行政書士事務所であり、代表は遺言相続に関する豊富な知識と経験を有しているため、安心して相談できるでしょう。
遺言書で内縁のパートナーに遺贈するケースでよくある質問
最後に、内縁のパートナーに財産を残すための遺言書について、よくある質問を紹介します。
内縁のパートナーが遺贈で財産を受け取ると、相続税は高くなりますか?
相続税が発生する場合、内縁のパートナーは相続税額の2割加算の対象になる可能性があります(相続税法第18条)。
財産が多く、相続税が発生する可能性が高い場合は、税理士への相談を検討しましょう。
遺贈するために内縁関係を証明する書類は必要ですか?
遺贈については、内縁関係であることを証明する書類は基本的に不要です。
内縁のパートナーと私の双方が、お互いに財産を残し合う遺言書を作れますか?
たとえば、AさんがBさんに財産を遺贈する遺言書を作り、BさんもAさんに財産を遺贈する遺言書を作るなど、お互いに財産を残し合う内容の遺言書を作成することは可能です。
ただし、2人が共同して1通の遺言書を作成することはできないため、別々に作成しなければならないことは覚えておいた方がよいでしょう。
まとめ
内縁のパートナーは、法律上は相続する権利がないため、相続人ではありません。したがって、何も準備をしていない状態で万が一のことがあった場合、パートナーは自宅や預貯金などの財産を一切受け取れない可能性があります。
万が一のことがあった場合に内縁のパートナーの生活を守るためには、遺言書による遺贈や生前贈与などの複数の方法を組み合わせて、パートナーに財産を残すための準備をしておくことが大切です。とくに、遺留分がある相続人がいる場合、遺留分侵害によるトラブルのリスクを抑えてパートナーに財産を残せるよう、遺言相続を専門にしている専門家に相談するのがおすすめといえるでしょう。
広島もみじ法務事務所は、遺言書に特化した遺言相続専門の行政書士事務所です。代表行政書士は、裁判所で13年にわたり、相続・遺言書を含むさまざまな事案に携わってきました。その経験を活かして、各専門家と連携しながら、家族関係・財産状況を踏まえた安心できる遺言書の作成と生前対策をサポートできるのが強みです。
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