亡くなった方の遺言書を見つけた方のなかには、「中身を確認するために開封してよいのだろうか」「何から始めたらよいのかわからない」と悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、今回は、遺言書を見つけたら最初にやるべきことだけでなく、押さえておくべきポイントや相談すべき専門家について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
遺言書を見つけたら必ず封印の有無を確認

遺言書を見つけたら、必ず最初に封印の有無を確認しましょう。
封印とは、単に封筒に入っているだけではなく、のりづけなどで封がされており、開封しないと中身が確認できない状態のことをいいます。たとえば、クリアファイルに入っている、封筒に入っているが封はされていないという場合は、封印にはあたらないでしょう。
封印されている場合は、家庭裁判所で検認という手続きをして、裁判官や相続人などの立会いのもとで開封する必要があります。万が一自分で開封した場合、過料の対象になることがあるため、注意が必要です。
とくに、開封したことが原因で、ほかの相続人から偽造や内容の差し替えを疑われる可能性もありますので、発見しても自分で開封しないようにしましょう。
広島で遺言書の内容を実現する流れ

発見した遺言書について封印の有無を確認したら、内容を実現するための手続きを順番に進めていきましょう。
手続きの流れは次のとおりですので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 相続人を調査する
- 必要な場合は家庭裁判所で検認手続きをする
- 遺言執行者の指定を確認する
- 相続財産を調査する
- 預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きをする
相続人を調査する
亡くなった遺言者の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍、各相続人の現在の戸籍を収集して内容を確認し、誰が相続人になるかを調査します。
基本的に、戸籍は必要な方の本籍地の役所で取得することになります。たとえば、遺言者の本籍地が広島市の場合、戸籍を取得するには広島市の役所で取得する必要があります。とくに、本籍地が遠方の場合は基本的に郵送で請求することになり、すべて揃えるまでにかなりの時間と手間がかかるケースもあるでしょう。
なお、戸籍はほかの手続きでも必要になるだけでなく、正確に調査しなければあとからトラブルになる可能性もあるため、漏れがないように確実に調査を進めるようにしましょう。
家庭裁判所で検認手続きをする
発見した遺言書が封印されている場合、原則として家庭裁判所で検認手続きをするところから始めます。手続きには、遺言者や相続人の戸籍謄本などの書類や手数料などが必要になります。詳しくは、こちらの裁判所のホームページから確認してください。
申立先は、遺言者が最後に亡くなった時点の住民票上の住所地を管轄する裁判所です。たとえば、広島市で亡くなっても住民票上の住所地が呉市だった場合は、呉市の家庭裁判所が申立先になります。
申立てから手続き完了までは、おおよそ2~3ヶ月程度かかるのが一般的です。書類の不備などで補正が必要になると、さらに時間がかかる場合もあります。
なお、検認手続きは、あくまでも遺言書の状態や発見した当時の状況などを確認するためのものです。したがって、検認しても遺言書の有効性が保証されるわけではないことは、覚えておいた方がよいでしょう。
遺言執行者の指定を確認する
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するための手続きをする人のことであり、遺言書で指定されている場合があります。たとえば、遺言書に「遺言者は、遺言執行者として〇〇を指定する」といった記載があれば、指定されていることがわかります。
指定されている場合は、遺言者が亡くなった旨を本人に伝えて、就任を希望するか確認しましょう。就任する場合は、遺言執行者が手続きを進めて遺言書の内容を実現することになります。
また、就任を断る旨の返事があった場合は、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらうかについて検討する必要があります。遺言書の内容によっては選任が必須の場合もありますので、しっかりと内容を確認しましょう。
なお、遺言執行者に指定されても就任を断れる理由や断られた後の対応については「遺言書で遺言執行者に指定されても断れる?広島で就任前に確認すべきポイントや就任後の対応を解説」の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
相続財産を調査する
預貯金や不動産など、どのような財産があるかを調査します。一般的には、次のような財産があるかを調査します。
| 財産の種類 | 主な調査方法 |
|---|---|
| 預貯金・現金・定期預金 | 通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物、入出金履歴 |
| 土地・建物などの不動産 | 固定資産税の納税通知書、登記識別情報、登記事項証明書、名寄帳 |
| 株式・投資信託・国債など | 証券会社の取引報告書、配当金通知、銀行口座の入出金履歴 |
| 自動車・貴金属・美術品など | 車検証、保険証券、購入時の領収書、鑑定書、保管場所 |
| 住宅ローンなどの債務 | 借入契約書、返済予定表、口座の引落し、請求書 |
| 暗号資産・ネット証券・電子マネーなど | スマートフォンやパソコンのアプリ、メール、取引履歴、入出金記録 |
| 生命保険・死亡退職金 | 保険証券、保険料の支払履歴、勤務先の退職金規程や支給通知 |
なお、生命保険金や死亡退職金は、基本的には相続財産に含まれないでしょう。ただし、相続税を計算する場合は、相続財産とみなされて課税対象になる可能性があるため、注意が必要です。
預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きをする
最後に、遺言書の内容に従って、預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きを進めましょう。手続きの内容や必要書類は財産ごとに異なるため、事前に確認して進めることが大切です。
主な財産の種類と手続きの具体例は以下のとおりです。
| 財産の種類 | 手続きの具体例 |
|---|---|
| 預貯金 | 金融機関で口座の解約や払戻しをして、遺言書の内容のとおりに分ける |
| 不動産 | 法務局で相続または遺贈による所有権移転登記をする |
| 株式・投資信託 | 証券会社で取得者の口座へ移管するか、売却して代金を引き渡す |
| 自動車 | 運輸支局などで名義変更をして、必要に応じて売却や廃車を検討する |
| デジタル資産 | 暗号資産、ネット証券、電子マネーなどについて、各事業者の手続きに従って移管、払戻し、解約などをする |
なお、誰に残すかが遺言書に記載されていない財産がある場合、該当する財産については相続人全員で遺産分割協議という話し合いをする必要があるため、覚えておいた方がよいでしょう。
遺言執行者は手続き以外に固有の業務がある

遺言執行者は、ここまで見てきた手続きを自分で進めなければならないだけでなく、以下のとおり追加でやるべき固有の業務があります。
| 主な業務 | 内容 |
|---|---|
| 遺言内容の通知 | 任務を開始した後、遅滞なく遺言の内容を相続人らへ通知 |
| 財産目録の作成・交付 | 遅滞なく相続財産の目録を作成し、相続人らへ交付 |
| 処理状況の報告 | 相続人から請求を受けた場合に、事務処理の状況を報告 |
| 任務終了時の報告 | 任務が終了した後、遅滞なく手続きの経過と結果を報告 |
なお、就任後に辞任した場合は自分の意思だけでは辞められず、家庭裁判所の許可が必要になります。辞任について悩んでいる方は「遺言書の遺言執行者は就任後に辞められる?辞任手続きや広島で辞任が難しい場合のおすすめの方法を解説」の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
遺言書の内容を実現するのが難しいケースに注意

次のようなケースに該当する場合は、遺言書の内容どおりに手続きを進めるのが難しい場合があるため、注意が必要です。
方式不備や曖昧な記載があるケース
自筆証書遺言の場合、日付の記載や署名押印などの法律で決められた方式に不備があると、内容の一部または全部が無効になって手続きができない可能性があるでしょう。
また、記載内容が曖昧な場合も注意が必要です。たとえば、「自宅は長男へ任せる」と書かれていると、自宅を長男へあげるのか、それとも自宅を誰にあげるかを長男に決めてもらいたいのかが判断できず、手続きができない場合もあります。
有効性や内容についてトラブルになる可能性があるケース
たとえば、相続人から「遺言書は無効ではないか」といった主張がされている場合は、そのまま手続きを進めるとトラブルになる可能性があり、内容を実現するのは難しいといえるでしょう。
また、遺留分が侵害されている相続人がいる場合も、トラブルになる可能性があるといえます。とくに、遺言書が「すべての財産を特定のひとりに残す」という内容の場合は、注意が必要です。なお、遺留分の詳しい内容については「遺留分を知らずに遺言書を作ると危険?遺留分の基本と対策を広島の行政書士が解説!」の記事をご覧ください。
広島で遺言書を見つけたら専門家に相談するのがおすすめ

遺言書を見つけてから内容を実現するまでの流れや具体的な手続きの内容については、これまで見てきたとおりです。家庭裁判所での検認、相続人や財産の調査など、手続きを進めるためには専門的な知識や相当な時間が必要になります。
また、遺言書に方式不備がある場合など、内容を実現するのが難しいケースだと、慎重に進めなければトラブルになる可能性もあるでしょう。
ここまでの記事を読んだ方のなかには、遺言書を見つけたものの自分で手続きを進められるだろうかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。少しでも不安がある方は、まずは専門家に相談するのがおすすめです。
遺言書について相談できる専門家は、大きく分けて行政書士、司法書士、弁護士です。ここからは、それぞれの専門家ごとの特徴について紹介するので、専門家を選ぶ際の参考にしてください。
行政書士
行政書士は、遺言書などの法的な書類を作成する専門家です。遺言書の内容の確認はもちろん、相続人や財産の調査、名義変更などの各種手続きのサポートも可能です。
「何から相談したらよいかわからない」「内容や手続き全般について相談したい」という場合は、まずは行政書士を選ぶのがよいでしょう。
たとえば、遺言書・相続専門の広島もみじ法務事務所はであれば、遺言書や相続について豊富な知識や経験があり、他の専門家とも連携して対応できるため、安心して相談できるでしょう。
司法書士
司法書士は、法務局の登記手続きの専門家であり、不動産の相続手続きを代理できます。また、裁判所へ提出する書類の作成も依頼可能です。
相続財産のなかに不動産が複数あって相続登記が複雑な場合、裁判所の手続きに必要な書類を作成してほしい場合は、司法書士に相談するのがよいといえます。
弁護士
弁護士は法律の専門家であり、本人の代理人として法的な手続きや交渉に対応できます。したがって、遺言書が無効だと主張している相続人がいる場合など、相続トラブルになる可能性が高いケースでは、弁護士に相談するべきでしょう。
広島で遺言書を見つけた方からよくある質問

最後に、よくある質問について見ていきましょう。
遺言書を見つけたら、すぐに開封してもよいですか?
封印されている遺言書は、自分で開封してはいけません。封印がされていると判断できない場合も、安易に開封することは避けて、専門家に相談するのがよいでしょう。
遺言書をすでに開封してしまった場合はどうすればよいですか?
開封しても直ちに無効になるわけではありませんので、そのままの状態で保管して、必要な手続きを進めるのがよいでしょう。
公正証書遺言や法務局保管の遺言書にも検認は必要ですか?
公正証書遺言の場合は検認は不要です。また、自筆証書遺言であっても法務局で保管する制度を利用している場合も、検認する必要はありません。
遺言書があれば遺産分割協議は不要ですか?
遺言書で分け方が定められた財産は、原則として記載されている内容に従って手続きを進めます。一方、記載されていない財産があって分け方が定められていない場合は、該当する財産については遺産分割協議が必要になることがあるため、注意が必要です。
遺言執行者がいなくても手続きはできますか?
法律で必要とされているケースを除き、基本的には遺言執行者がいなくても手続きは可能です。ただし、預貯金の解約では金融機関から遺言執行者の選任を求められる場合があるなど、法律上は必要とされていないケースでも選任しなくては手続きができないことがあります。
遺言執行者に指定された人は就任を断れますか?
就任前であれば、法的な手続きをする必要はなく、自分の意思で断れます。
就任後に遺言執行者を辞任できますか?
正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て辞任するのが原則です。就任前とは異なり、自分の意思だけでは辞任ができないため、注意が必要です。
多忙などが理由で業務を続けるのが難しい場合は、第三者への業務の委任も含めて検討するのがよいでしょう。
遺言執行者の業務を他の人に任せられますか?
第三者に委任して業務を任せることは可能です。しかし、委任しても遺言執行者としての責任が無くなるわけではありません。
責任を負うリスクを抑えて安心して業務を任せるには、行政書士などの専門家に相談するのがよいでしょう。
まとめ
遺言書を発見したら、まずは封印されているか確認しましょう。封印されている場合、自分で開封すると過料の対象になるだけでなく、ほかの相続人との間でトラブルになる可能性もあるため、注意が必要です。
また、遺言書の内容を実現するためには、相続人や財産の調査、預貯金の解約や不動産の名義変更など、手続きを適切に進めることが大切です。しかし、手続きを進めるには手間や時間がかかるだけでなく、専門的な知識や経験が必要になるため、自分で適切に進めるのが難しい場合もあるでしょう。
どうやって手続きを進めたらよいかわからない、自分で適切に対応できるか不安という方は、専門家に相談することで最適なサポートが受けられるため、安心といえるでしょう。
広島もみじ法務事務所は、遺言書・相続専門の行政書士事務所です。
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