子どもがいない夫婦の場合、残された配偶者に財産を残すためには遺言書が重要になるケースが多いです。しかし、夫婦のうち片方が作るだけでは不十分であり、思わぬトラブルが生じる可能性があります。
そこで、今回は、広島で子どもがいない夫婦がお互いに遺言書を作るべき理由と、夫婦で作成するうえで押さえておくべきポイントについて解説します。
子どもがいない夫婦は遺言書が重要

遺言書がなく、配偶者以外にも相続人がいる場合、必要な財産を残された配偶者がすべて相続できるとは限りません。なぜなら、原則として相続人全員で財産の分け方について話し合う必要があり、配偶者が希望するとおりの内容がまとまらない可能性があるからです。
遺言書を作成しておけば、自分の財産の分け方を決められるだけでなく、原則として遺言書の内容のとおりに財産を分けることになります。したがって、子どもがいない夫婦の場合、残された配偶者に必要な財産を残すためには、遺言書が重要だといえるでしょう。
詳しくは「広島で子どもがいない夫婦の相続のリスクと遺言書が必要な理由を解説!」で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
広島で子どもがいない夫婦がお互いに遺言書を作るべき理由

子どもがいない夫婦が遺言書を作る場合、夫婦のうち財産が多い方だけが作る、高齢な方だけが作るなど、片方が作るだけでは十分とはいえません。なぜなら、どちらが先に亡くなるかは分からず、片方の遺言書だけでは相続への備えが不十分だからです。
夫婦の片方だけが遺言書を作った場合、基本的には作った方が先に亡くなった場合にしか備えられません。万が一、作っていない方が先に亡くなってしまうと、残された配偶者が必要な財産を相続できない、自分の希望どおりの財産の分け方が実現できないというリスクがあります。
たとえば、子どもがいない夫婦において、夫だけが「すべての財産を妻に相続させる」内容の遺言書を作っているケースで考えてみます。妻よりも先に夫が亡くなった場合、妻は夫の遺言書にしたがってすべての財産を相続できるため、問題はないでしょう。
しかし、遺言書を作っていない妻が夫より先に亡くなると、夫以外に相続人がいる場合、妻の財産の分け方について相続人全員の話し合いで決めることになります。夫が「妻の財産をすべて相続したい」と希望しても、ほかの相続人の合意が得られないと実現できないばかりか、話し合いがまとまらずトラブルになる可能性もあります。
また、遺言書で決められるのは自分が所有する財産の分け方のみです。したがって、夫の遺言書で「妻が先に亡くなった場合は妻の財産はすべて夫が相続する」という内容はできないため、注意が必要です。
夫婦それぞれがお互いに自分の遺言書を作ることで、どちらが先に亡くなっても残された配偶者の生活を守り、自分の想いも実現できるため、安心といえるでしょう。
子どもがいない夫婦の遺言書で押さえるべき3つのポイント

ここまで見てきたとおり、子どもがいない夫婦は片方だけが遺言書を作るのでは不十分といえます。残された配偶者の生活を守り、自分の想いを実現するためには、どちらが先に亡くなっても備えられるように、お互いに作っておくべきだといえます。
しかし、単にお互いが遺言書を作っておけば安心というわけではなく、次のような押さえておくべきポイントがあります。
- 夫婦連名で作成しない
- お互いの希望を踏まえて内容を決める
- 一方が亡くなったときや内容変更後には遺言書を見直す
ここからは、3つのポイントについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
夫婦連名ではなく一人1通ずつ遺言書を作る
「夫婦でお互いのために作成するのだから、夫婦連名の方がいいだろう」と考えている方もいるのではないでしょうか。実際に、夫婦連名で遺言書を作成している方も少なくありません。
しかし、夫婦に限らず、2人以上が連名で遺言書を作成することは法律で禁止されています(民法第975条)。したがって、夫婦がお互いに作成して、それぞれの遺言書に連名で署名した場合、原則として遺言書の効力はどちらも無効になるため、注意が必要です。
夫婦連名で作成することは避けて、必ず作った本人だけが自分の遺言書に署名するようにしましょう。
お互いの希望を踏まえて内容を決める
お互いに遺言書を作る場合は、単に同じ内容を2通用意するのではなく、それぞれの希望を確認したうえで内容を決めることが大切です。なぜなら、夫婦であっても所有している財産や親族関係、最終的に誰へ財産を残したいかという希望まで同じとは限らないからです。
たとえば、お互いに「自分が先に亡くなったら配偶者に財産を残したい」と考えていても、配偶者が自分より先に亡くなった場合の希望は異なることがあります。夫は「兄弟姉妹や甥・姪に残したい」と考える一方で、妻は「お世話になった知人に残したい、施設や団体へ寄付したい」と考えるケースもあるでしょう。
お互いの希望を確認しないまま、片方の遺言書をそのまま参考にして同じような内容を作ると、本来の自分の希望に合わない内容になる可能性があります。とくに、子どもがいない夫婦では、配偶者が先に亡くなった後の財産の分け方をどうするかまで考えておくべきだといえます。
片方の内容をそのままもう一方へ当てはめるのではなく、それぞれの財産や相続関係を整理して、お互いの希望を実現できるように内容を検討して決めることが大切です。
一方が亡くなったときや内容変更後には遺言書を見直す
お互いに遺言書を作った後も、一方が亡くなったときや遺言書の内容を変更したときには、もう一方の遺言書の内容が現在の状況に合っているかを確認しましょう。
たとえば、夫が先に亡くなり、妻が夫の自宅や預貯金を相続すれば、夫から取得した財産は妻自身の財産になります。妻が以前に遺言書を作っていたとしても、作成時の財産とは内容が変わるため、新たに取得した財産を含めて分け方を決めた方がいい場合もあるでしょう。
また、遺言書で財産を残す予定の相手が先に亡くなった場合、該当する部分については無効になる可能性があります。たとえば、夫が遺言書で「妻にすべての財産を残す」としていた場合、先に妻が亡くなると財産を受け取る人がいないため、無効になる場合があります。
そして、無効になった部分の財産については、遺言書を作った本人が亡くなった際に相続人同士で分け方を話し合って決めることになります。したがって、配偶者に残す予定だった財産について分け方に希望がある場合には、改めて遺言書の内容を見直した方がよいといえるでしょう。
子どもがいない夫婦の遺言書は専門家に相談するのが安心

ここまでは、子どもがいない夫婦の遺言書で押さえるべき3つのポイントについて見てきました。3つのポイントはどれも重要ですが、お互いの希望が実現できる内容の遺言書を作成することがもっとも重要といえます。
残された配偶者の生活を守る、お世話になった人に恩返しをするなど、遺言書を作る目的は自分の希望を実現するためです。そして、子どもがいない夫婦がお互いに遺言書を作る場合、それぞれの希望を実現できるように、内容をしっかりと検討することが大切です。
検討にあたっては、法的にどのような効果が生じるのか、デメリットはないかなど、さまざまな視点が必要になります。とくに、お互いに遺言書を作る場合は、相手が先に亡くなった場合の対応も考えておく必要があり、内容が複雑になるケースもあります。
ここまでの記事を読んだ方のなかには、お互いに希望を実現できる遺言書が作れるのだろうか、何から始めたらよいのだろうかと、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。子どもがいない夫婦の遺言書は、行政書士、司法書士、弁護士といった専門家に相談するのがおすすめといえます。
ここからは、各専門家の特徴について紹介するので、専門家選びの参考にしてください。
行政書士
行政書士は、遺言書をはじめとする法的な権利・義務に関する書類を作成する専門家です。必要な資料の収集から作成まで一貫してサポートできるため、何から始めたらよいかわからないという方は、まずは行政書士に相談するとよいでしょう。
たとえば、遺言書が専門の行政書士広島もみじ法務事務所であれば、資料にもとづく家族関係や財産の整理から、遺言書の内容の提案・作成まですべてサポートしてくれます。
司法書士
司法書士は、不動産などの登記の専門家です。相続が発生した場合、不動産については相続登記をする必要があり、司法書士は本人の代理人として手続きを進められます。
自宅以外にも土地や賃貸物件などの不動産が複数あり、不動産の権利関係が複雑になる可能性がある場合は、司法書士に相談するのがおすすめです。
弁護士
弁護士は法律の専門家であり、本人の代理人として法的なトラブルに対応できます。行政書士や司法書士では、本人の代理人として法的なトラブルに対処できません。
お互いの相続が発生した場合、ほかの相続人とトラブルになる可能性が高い場合には、弁護士に相談するのがよいでしょう。
広島で子どもがいない夫婦の遺言書でよくある質問

最後に、広島で子どもがいない夫婦の遺言書でよくある質問を見ていきましょう。
財産が多い方だけ遺言書を作れば足りますか
相続トラブルは財産が少なくても発生する可能性があるため、財産だけで判断するのは適切とはいえないでしょう。
とくに、子どもがいない夫婦の場合、遺言書がないと残された配偶者の生活を守れない可能性があるため、基本的にはお互いに作っておくのがおすすめといえます。
夫婦の遺言書は同じ日に作る必要がありますか
「同じ日に作らなければならない」という法律上の要件はないため、夫婦で作成日が異なっていても問題ありません。
夫婦で同じ内容の遺言書を2通作れば足りますか
同じ内容でお互いに作ればよいとは限りません。夫婦であってもお互いの希望は異なる場合も多いため、それぞれの希望が実現できる内容にすることが大切です。
遺言書は手書きで作ってもよいですか
法律上は、手書きでの作成も可能です。しかし、法律で決まっている形式を守れていなかったり、内容に誤りがあったりすると、無効になる場合があります。
とくに、お互いに遺言書を作成する場合、一方が無効になってしまうと、もう一方の効力にも影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
子どもがいない夫婦の遺言書は、手書きではなく公正証書遺言がおすすめです。詳しくは「遺言書は公正証書遺言がおすすめ。メリット・デメリットや広島で相談できる専門家を解説!」をご覧ください。
夫婦で作った後、一方だけ遺言書を変更できますか
自分が作成した遺言書であれば、変更は可能です。しかし、一方だけが内容を変更すると、当初夫婦で想定していた内容と齟齬が生じる可能性があります。
一方を変更した場合は、もう一方の遺言書の内容も改めて確認するのがよいでしょう。
まとめ
子どもがいない夫婦の場合、残された配偶者の生活を守り、自分の希望を実現するためには、遺言書が重要といえます。また、どちらが先に亡くなるかは分からないため、お互いに万が一のことがあっても備えられるよう、夫婦それぞれで作成しておくのがよいでしょう。
遺言書を作成するうえでもっとも重要なポイントは、それぞれの希望を実現できる内容にすることです。とくに、子どもがいない夫婦の場合だと、相手が先に亡くなった場合に備える必要があるため、内容を自分たちで考えるのが難しい場合もあるでしょう。
少しでも不安がある方は、行政書士や弁護士といった専門家に相談して、適切なアドバイスをもらいながら作成するのが安心といえるでしょう。
広島もみじ法務事務所は、遺言書・相続専門の行政書士事務所です。
単に「遺言書を作る」のではなく、13年の裁判所経験を活かして、夫婦それぞれが「誰に、何を、どう残せばよいか」という内容設計からサポートしています。
初回相談は2時間無料です。
まずは専門家と一緒に、現状を整理するところから始めてみませんか。