遺言書を見つけた方のなかには、遺言執行者の指定がなく、どうしたらよいのかと不安に思っている方もいるでしょう。また、遺言書の作成を検討している方も、遺言執行者は指定するべきなのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、遺言執行者が必要になるケースだけでなく、選任するポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
遺言書に遺言執行者の指定が無いと無効?

遺言執行者とは、相続人の調査や預貯金の解約などの必要な手続きを、相続人や受遺者に代わって進める権利と義務がある人のことです。
遺言執行者の指定は、遺言書が有効になるための要件にはなっていません。つまり、指定がなかったとしても、それだけで効力そのものが無効になるというわけではありません。
一方で、必要な手続きを進めるうえでは、遺言執行者が重要になる場合があります。なぜなら、法律上必要とされているケースや、法律上は求められているわけではありませんが、必要になりやすいケースがあるからです。
ここからは、遺言執行者が法律上必要になる主なケースや、法律上は必須ではないものの、必要になりやすいケースについて解説します。
遺言執行者が法律上必要になる主なケース

法律上必要になる主なケースは、次のとおりです。
- 推定相続人の廃除に関する内容がある
- 認知に関する内容がある
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
推定相続人の廃除に関する内容がある
推定相続人の廃除とは、一定の事情がある場合に、本来は相続人になれる人の相続する権利を失わせることです。推定相続人の廃除に関する内容が遺言書に含まれている場合は、遺言執行者しか対応できないため、注意が必要です。
認知に関する内容がある
認知とは、婚姻していない男女の間に生まれた子について、法律上の親子関係を認めることです。法律上、遺言書で認知することが可能となっており、遺言執行者が対応する必要があります。
広島で遺言執行者が必要になりやすいケース

法律上は必要ないものの、以下のケースでは相続人や受遺者が手続きを進めるのが難しい可能性があるため、遺言執行者がいたほうがよいでしょう。
- 相続人に協力してもらいにくい事情がある
- 相続人や財産が多い
- 金融機関で求められる
ここからは、それぞれのケースで必要になりやすい理由について解説します。
相続人に協力してもらいにくい事情がある
預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きは、相続人全員の協力が必要になります。したがって、協力してもらいにくい事情がある場合には、手続きを進めるのが難しくなる可能性があります。
たとえば、関係が疎遠な相続人がいる場合です。そもそも連絡が取れない、連絡が取れてもあまり協力的ではないなど、関係が疎遠な相続人がいる場合は、手続きを進めるのが難しくなるケースが多いです。
また、再婚家庭で前婚の子どもがいる場合も、前婚の子どもの協力が得られず手続きが進められなくなる可能性があるため、注意が必要です。
相続人に協力してもらいにくい事情がある場合は、遺言執行者がいれば、手続きを進めやすくなります。なぜなら、遺言執行者は、相続人や受遺者の協力がなくても必要な手続きを自分で進められるからです。
したがって、関係が疎遠、前婚の子どもがいるなど、相続人に協力してもらいにくい事情がある場合は、遺言執行者が必要になりやすいといえるでしょう。
相続人や財産が多い
相続人や財産が多い場合、預貯金の解約などの必要な手続きが煩雑になり、誰がどのように進めればよいかがわかりにくく、スムーズに進められない場合があります。
遺言執行者がいれば、相続人や受遺者に代わりに中心となって手続きを進められるため、相続人や財産の数が多い場合でも、比較的スムーズに進められるでしょう。
金融機関で求められる
法律上、亡くなられた方の預貯金を解約する手続きは、遺言執行者が必要なものではありません。基本的には、相続人や受遺者の印鑑証明書など、必要な書類を揃えれば可能となっています。
しかし、金融機関によっては、預貯金の解約手続きのために遺言執行者を求めるケースがあります。金融機関から選任を求められた場合は、本来は必須ではなくても、解約の手続きを進めるために遺言執行者を選任するべきでしょう。
選任を求めるかどうかは金融機関によって対応が異なるため、事前に確認しておくのが安心といえます。
遺言執行者は家庭裁判所で選任できる

遺言執行者の指定がない、指定があっても就任を辞退されたという場合は、家庭裁判所で遺言執行者を選任する手続きができます。
手続きには、遺言書の写しや遺言者の戸籍などのさまざまな資料が必要になります。詳しくは、こちらの裁判所のホームページで内容が確認できますので、ぜひ参考にしてください。
広島で適切な遺言執行者を選ぶポイント

遺言執行者を指定する、または家庭裁判所で選任する場合には、誰を選ぶか検討する必要がありますが、適切な人を選ぶために押さえておくべきポイントがあります。
まず、以下に該当する人は、法律で遺言執行者にはなれないと定められているため、選ばないようにしましょう。
- 未成年者
- 破産者
次に、法律上は問題がなくても、遺言執行者として手続きを進めるのが難しい可能性がある人は、選ばないほうがよいとえいます。たとえば、病気や高齢などが理由で体調に不安がある、体力的には問題がないが手続きをする時間が取れないといった人は、避けた方がよいでしょう。
適切な遺言執行者を選任するためには、法律上なれない人以外から選ぶことはもちろん、自らが中心となって動ける人を選ぶことが大切です。
遺言書に遺言執行者の指定がない場合は専門家に相談するのがおすすめ

遺言執行者が法律上必要になるケースや、必要になりやすいケースについては、これまで見てきたとおりです。一般的には、相続人との関係が疎遠など必要になりやすいケースが多く、遺言執行者が中心になって手続きを進めた方がよい場合が少なくありません。
遺言執行者を選任する場合は、誰を選ぶかが重要なポイントになります。しかし、必要な手続きは専門的であり、日常生活を送りながら対応する時間を確保することは難しい場合が多いため、適切な人を見つけられない可能性もあります。
ここまでの記事を読んだ方のなかには、遺言執行者が必要なのか、必要な場合に誰を選んだらよいのだろうかと、不安に思っている方もいるのではないでしょうか。遺言執行者の選任に不安がある方は、専門家に相談するのがおすすめといえます。
専門家に相談することで、遺言書の内容や現状を踏まえたうえで、選任について適切なアドバイスをもらえるでしょう。また、専門家によっては、遺言執行者への就任を依頼できる場合もあります。
相続人や受遺者への通知、相続財産の調査、財産目録の作成、預貯金解約や名義変更など、専門的で複雑な手続きを進めなければならないため、専門家に就任を依頼できれば安心といえるでしょう。
相談できる専門家は、大きく分けて行政書士、司法書士、弁護士です。ここからは、専門家ごとの特徴について紹介するので、相談する専門家を選ぶための参考にしてください。
行政書士
行政書士は法的な書類を作成する専門家です。遺言書の作成や相続手続きのサポートも可能であり、遺言書の内容や相続人や財産の内容を整理したうえで、選任が必要かどうか判断するためのアドバイスがもらえるでしょう。
とくに、相続トラブルになる可能性が低い場合は、まずは行政書士に相談してみるのがよいでしょう。
ただし、相続トラブルになる可能性が高い場合は行政書士では対応が難しいため、弁護士への相談を検討するのがよいといえます。
司法書士
司法書士は登記の専門家です。遺言書に複数の不動産を承継させる内容がある場合、相続登記が複雑になる可能性があるため、司法書士に相談するのがよいでしょう。
一方で、司法書士も相続トラブルになる可能性が高い場合は対応が難しいため、弁護士への相談を検討するのがおすすめです。
弁護士
弁護士は法律の専門家であり、遺言の有効性をめぐる争いなどの相続トラブル全般について相談できます。たとえば、相続人の一部が遺言書の内容に納得していない場合など、相続トラブルの可能性が高い場合は、弁護士に相談するのがよいでしょう。
遺言執行者の指定について広島でよくある質問

最後に、遺言執行者の指定について広島でよくある質問を見ていきましょう。
遺言執行者の指定がない遺言書は無効になりますか?
指定がないからといって、当然に無効になるわけではありません。ただし、形式不備や内容に問題がある場合は、有効性が問題になることがあるでしょう。
家庭裁判所で遺言執行者を選任する場合、誰が申立てできますか?
申立てができるのは、相続人や受遺者などの利害関係人です。
遺言執行者に相続人の1人を選任できますか?
未成年者や破産者でない限り、法律上は相続人を選任できます。ただし、適切に手続きが進められる人を選ぶのがよいでしょう。
遺言執行者に法人を選任できますか?
個人だけでなく、法人を選任することも可能です。たとえば、行政書士法人や弁護士法人を選任するケースもあるでしょう。
まとめ
遺言執行者の指定がなくても、遺言書の内容が無効になることは基本的にありません。しかし、手続きを進めるために法律上必要になるケースや、遺言執行者がいた方がスムーズに進められるケースがあることは、覚えておいた方がよいでしょう。
とくに、相続人に協力してもらいにくい事情がある、相続人や財産が多いといった場合は、遺言執行者に選任して手続きを進めるべきだといえます。ただし、遺言執行者には法律上なれない人がいるなど、適切な人を選ぶ必要があるため、注意が必要です。
遺言執行者の選任の判断について少しでも不安がある方は、行政書士などの専門家に相談するのがおすすめです。とくに、遺言書や相続を専門としている専門家であれば、選任の判断だけでなく就任の依頼や手続き全般についても相談ができるため、安心といえるでしょう。
広島もみじ法務事務所は、遺言書に特化した遺言相続専門の行政書士事務所です。代表行政書士は、裁判所で13年にわたり、相続・遺言書を含むさまざまな事案に携わってきました。その経験を活かして、遺言執行者の選任の判断について最適なアドバイスができるだけでなく、遺言執行者に就任して各専門家と連携しながら手続きを進められるのが強みです。
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